(1) 赤外線の発見と遠赤外線

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赤外線の発見

太陽光はプリズムを通すと赤から紫まで7色に分光されることは広く知られています。
最初にニュートンが科学的に研究したと言われています。これは赤から紫にいくに従って波長が短くなり屈折率が高くなるからです。
1800年英国の天文学者ハーシェルは可視光の赤色よりも外側の目に見えない部分で温度が上昇することを発見しました。赤色より外側(波長が長い) にあるので赤外線(infrared)と名付けました。

遠赤外線の位置付け

赤外線は電磁波の一種です。その仲間は下図の様に波長により物体に及ぼす作用が違うので波長の短い方からγ線・X線・紫外線・可視光線・赤外線・マイクロ波・電波に分類されていますが、いずれも電磁波の一種です。
赤外線はその作用効果により近赤外線と遠赤外線に分けられます。0.78~3μの波長域を近赤外線、3~1000μの波長域を遠赤外線といいます。
遠赤外線中の3~20μの範囲が加熱に有効とされています。波長が長くなるに従ってエネルギーは弱くなり用途はセンシング関係となります。

遠赤外線の効果

3μ以上の波長を放射する遠赤外線ヒーターはほとんどの物質の加熱に有効です。2種類以上の原子からなる多くの物質(金属を除く)はそれぞれ3μ以上の所に固有の振動数を持っているため、遠赤外線が当たるとその物質の表面近傍で、固有振動が励起され温度が上昇します。
このため遠赤外線ヒーターからのエネルギーの吸収が非常に良く、温度上昇が速いのです。表面で貰った大きなエネルギーは熱流となって素早く物質内部へと伝導します。これが物質を加熱した場合の表面と内部の温度差がほとんどなく、短時間で目的の温度にすることができる理由です。決して物質の内部(芯)から温度が上がる訳ではありません。