(4) 熱の伝達方式と遠赤外線加熱

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(1)伝導伝熱

熱が物質(固体)を伝わって移動することを熱伝導と言います。
ホットプレート上にワークを置き昇温させたり、熱ロール上でワークを熱処理したりする直接被加熱物を熱源と接触させて伝熱する方法です。家庭ではアイロンや鉄板焼きなどがそうです。

(2)対流伝熱

熱が流体の熱膨張により移動することを対流と言います。家庭では風呂を沸かしたり、ストーブで部屋を暖めたりします。
工業的には強制的に熱源に接触し昇温した空気やガスを炉内に送り込み、内部に置いた被加熱物を加熱する方式です。エネルギー効率が悪いのですが汎用的な加熱方式です。
※ 伝導・対流伝熱は直接物体に高温の熱源や熱媒体が接触するために、表面温度が急激に上昇し表面劣化や焦げが生じ易くなります。
それを避けるため熱源や熱媒体の温度を下げることになりますが今度は物体の昇温時間が長くなることになります。熱源や熱媒体の温度は物体の昇温設定温度と同一にすることになります。一方、物体は熱源や熱媒体の温度以上に上がらない利点があります。

(3)放射伝熱(遠赤外線加熱)

放射伝熱は熱源である遠赤外線ヒーターと物体は接触しないので物体の設定温度よりかなり高い温度にしても物体の表面温度は急上昇しません。
3μ以上に吸収体がある有機物や高分子物・セラミック等は3μ以上の波長を放射する遠赤外加熱により表面での熱吸収が非常に効率よく行われ、物体内部への熱流が昇温時間中ほぼ一定で供給できます。つまり物体全体が温度上昇することになります。
表面で受けた熱エネルギーがほとんど内部へ流れるので表面温度だけが上昇することなく目標温度までほぼ直線的に昇温します。