26.そもそも電気加熱とはどんなものか教えてください。
電気による加熱は熱の発生・伝達方式により以下のように分類されます。
抵抗加熱
抵抗体に通電しジュール熱を発生させ対流や放射によって被加熱物を加熱する方式で発熱体にはカンタル線やニクロム線のような金属発熱体とセラミック系の焼結品である高温用の非金属が発熱体があります。
特徴
1)被加熱物の材質や形状に制限がない。
2)急速加熱はできませんが低温から3000℃まで広範囲の温度で処理できる。
3)不活性ガス・還元性ガス・真空中など目的にあった 熱処理ができる。
4)汎用性のある抵抗炉は少なく、使用条件に応じて設計されるのが普通である。
誘導加熱
電磁誘導を利用して被加熱物に発生するジュール熱で加熱する方式で 主に溶解炉に使い、低周波誘導炉と高周波誘導炉がある。
特徴
1)急速加熱ができる上、部分加熱ができる。
2)省スペース・省力化・クリーン加熱ができる。
3)イニシャルコストが高い。
誘電加熱
誘電体である被加熱物に高周波電圧(4~80MHZ)印加し分子同士の衝突や摩擦で発熱させる方式。低温加熱乾燥が得意。
特徴
1)被加熱物自体が発熱するので急速に加熱が可能。
2)起動時間が短く、短時間で均一加熱ができる。
3)真空中や高圧下・袋の中の物も加熱できる。
4)選択加熱でき、温度制御も簡単である。
5)金属や金属を含む物は加熱不可です。
6)非加熱物は誘導体でなければ加熱不可です。
マイクロ波加熱
誘電加熱よりさらに高い周波数(2450MHZ)の電磁波を照射し加熱する方式。 電子レンジと同一原理です。
特徴
1)被加熱物自体を発熱させるので急速加熱できる。
2)複雑な形状な物も均一加熱できる。
3)被加熱物自体が発熱するので熱損失がなく熱効率が良い。
4)金属や金属を含むものは加熱不可です。
5)イニシャルコストは高い。
ヒートポンプ
冷媒が蒸発する際に奪う気化熱と気化した気体が液体に戻る際に放出する熱を利用する方式。冷却と加熱を同時に行える方式。だが高温加熱はできない。
特徴
1)エネルギー利用効率が高いのでランニングコストが安い。
2)1台の装置で冷却・加熱・除湿ができる。
3)温排水などの廃熱を再利用できるのが最大の特徴である。