22.近赤外線と遠赤外線はどんな違いがあるのでしょうか。
日本では3μ以上を遠赤外線、それ以下を近赤外線といいます。
ヨーロッパやアメリカでは近赤外加熱で大電力での大型設備での高速大量処理が行われています。
電気代が安く、土地代が安く人件費も安いからこそ可能な方法で我が国ではとても採算が取れません。
そこで効率が良いため、また高品質な仕上がりが期待できる小型設備で処理可能な遠赤外線加熱が考案されました。
連続生産できるため省力化も可能になり昭和40年後半から盛んに開発されてきました。
遠赤外線ヒーターの放射波長は3μ以上ですが、その波長分布は配合セラミックの種類により差異があります。
どういう配合セラミックを使用するかはメーカーごとのノウハウになっています。
そのため近赤外線と違い放射波長は各メーカーにより異なります。
しかしそのことが問題になることはありませんでした。
結論は3μ以上の放射波長を持つヒーターを使用すれば、加熱炉のエンジニアリングのほうが重要になり、その性能を左右するからです。
近赤外ヒーターの放射エネルギーは一定であり波長分布はプランクの放射式によります。
発熱体が金属フィラメントであり、ガラス管の中に不活性ガスと密封されています。
そのため直接発熱体の温度は測れませんが、2000℃のフィラメントからの最大放射波長は約1.3μです。
そこで2ミクロン以下の最大波長を持つヒーターを近赤外線ヒーターと称しています。
1000℃のフィラメントからの最大放射波長は約2.3μですので2~4μの最大波長を持つヒーターを中赤外線としています。