41.ヒーター設計の概要を知りたいのですが。

メーカーに希望のヒーターサイズやW数を伝えると技術的にできませんとか物理的に無理ですと言われるのはなぜでしょうか。
ヒーターは棒状型(シーズヒーター、ストレートヒーター)は2W/㎠までしかできません。
それを超えると表面温度が上がり内蔵のニクロム線が過熱するためです。
しかし風が当たると表面温度が下がるので風速によりもっと容量が入れられます。
遠赤外線ヒーターにすると放射が良いのでヒーター表面温度が下がり4W/㎠迄可能です。
例えば800Lのヒーターであれば12φで1100Wまで制作できます。
しかしW数が小さくなると内蔵のニクロム線の径が細くなるため製作中に不具合が生じる恐れがあるので600W以上でしか製作できません。
パネルヒーターは遠赤外線ヒーターでも2W/㎠までしか製作できません。
では200V,650W,12φ、500mmLストレートヒーターを製作するにはどう設計するのでしょうか。
まずニクロム線の必要な長さを計算します。
ストレートヒーター内にはニクロム線はコイル状に入り、そのピッチは線径の3倍以上が安全とされています。
コイルの巻径とピッチから500Lのヒーターに入るニクロム線の長さLを計算します。
オームの法則からヒーターに流れる電流は3.25Aになり、抵抗値は61.5Ω必要です。61.5/L から抵抗値Ω/mが分かりますので ニクロム線の導体抵抗表からニクロム線の使用する径が分かります。
こうしてできたヒーターの抵抗値は冷間抵抗と呼ばれるもので、電流を流さない状態での抵抗値で、W数となります。
従って電流を流し温度が上がったときは、抵抗値は上がりますのでW数は計算値より下がります。
そこでヒーター表面温度500℃で計算値のW数を出すためにはニクロム線の抵抗増加係数を表から求め、導体抵抗×抵抗増加係数から実際のニクロム線の長さを計算します。