34.放射率によりヒーター効率はどのくらい違いますか。
放射率0.9の遠赤外線ヒーターと放射率0.7の遠赤外線ヒーターがあった場合どちらを使用するでしょうか。
当然0.9のヒーターですよね。しかし本当に0.9のヒーターのほうが良いのでしょうか。
仮に放射率1.0のヒーターと0.5のヒーターがあった場合、同温度の時、熱エネルギーが放射エネルギーに変換される変換率は50%となります。
しかし放射率0.5のヒーターは放射エネルギーに変換されない熱エネルギーは放射源に保持されたままになります。
放射源には次々とエネルギーが供給されるので放射源の温度は上昇することになり放射率1.0のヒーターより表面温度は高くなります。
つまり温度が高くなった分だけ放射エネルギー量は多くなり、放射波長は高くなった分だけ若干短波長側によりますがエネルギー総量は放射率1.0のヒーターと放射率0.5のヒーターも同程度になる可能性があります。
しかし温度が高くなった分だけ熱損失が増えるので放射率1.0のヒーターの方がエネルギー総量は多いはずです。
そうすると放射率0.9のヒーターと放射率0.7のヒーターではあまり差はないと考えるべきです。
ただ被加熱物処理には全放射率よりも分光放射率による特異性があることに注意する必要があります。
また加熱炉の設計技術の差により放射率以上の差が出る場合があります。
結論として加熱炉の設計が完璧であり、放射源の分光放射率が被加熱物の吸収特性に合致している場合は、放射率の高いヒーターを選択するのは当然のこととなります。
ただ遠赤外線ヒーターであるなら、放射率による効率の差は殆どないと言っても良いかもしれません。