19.塗料の乾燥は熱風炉に比べ遠赤炉のほうが明らかに速いのはどうしてですか。
メラミン塗料の乾燥硬化は130℃ 3分加熱がスペックとなっています。
しかし対流加熱(熱風炉加熱)の場合、130℃雰囲気に直接触れると塗装表面の温度が急速に上がるため膜を張り内部の溶剤が閉じ込められることになります。
塗装内部の温度が上がると溶剤の蒸発のため発泡現象やクラックが生じます。
これを避けるため130℃まで徐々に昇温させ塗膜厚み方向全体から溶剤蒸発を行わなければならないのです。
これをセッティングとすれば硬化完了まで約20分ほどかかることになります。
これに反し遠赤外線加熱ではセッティングなしで、例えば表面温度500℃のヒーター加熱炉中では約3分で塗装品は130℃~150℃に到達します。
それで取り出しても塗膜硬度や他の品質も熱風加熱よりも優れることが多いのです。
遠赤加熱は有機物に吸収が非常に良いので塗装表面で大量にエネルギーを吸収し、熱流として塗膜内部に熱伝達するのが殆ど瞬時のため塗膜表面と内部が殆ど同じ温度になります。
そのため塗膜全体から溶剤が抜けていきます。これがピンホールやクラックが起きない理由です。